バルサの背番号24は、「一桁番号へ上がる前の、仮の番号」だった。
プジョルは24番から5番へ。イニエスタは24番から8番へ。セルジ・ロベルトは24番から20番へ。フェルナンド・コウトも24番から5番へ——この番号を着けた選手たちは、実力を証明すると次々に別の番号へ移っていった。
だがそんな「通過点の番号」が、バルサの3度のチャンピオンズリーグ制覇すべてに絡んでいることは、あまり知られていない。
そもそもバルサにとって「24番」とは?
背番号24は、トップチームが使える1〜25番のなかで、ほぼ最後尾にあたる。ラ・リーガの規定でトップ登録は1〜25番、下部組織の選手は26番以降と決まっているため、24番は「トップチームの末席」という位置づけになる。
バルサの24番には2つの傾向がある。ひとつはディフェンダーの番号——コウト、プジョル、フォンタス、マチュー、ミナ、フェルマーレン、フィルポ、エリック・ガルシア。もうひとつがラ・マシア出身の若手が定着する前に着ける番号だ。
※ラ・リーガで固定背番号制が導入されたのは1995-96シーズンから。それ以前は先発11人が1〜11番を着ける方式で、そもそも12番以降が存在しませんでした。したがって24番に「固定制以前の歴代着用者」は存在しません。
バルサ歴代24番 一覧
固定番号制以降、24番を背負ってきた顔ぶれがこちら。空位の年が非常に多いのもこの番号の特徴だ。
| 着用時期 | 選手名 | 国籍 | ポジション | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1995-96 | ロジェ・ガルシア | スペイン | ウイング/MF | ラ・マシア育ち。翌季は27番へ |
| 1996-97 | フェルナンド・コウト | ポルトガル | CB | 翌季から5番へ |
| 1997-98 | (空位) | — | — | 登録者なし |
| 1998-99 | ロジェ・ガルシア | スペイン | ウイング/MF | 3年ぶりに24番へ復帰 |
| 1999-2000 | (空位) | — | — | 登録者なし |
| 2000-01〜2001-02 | カルレス・プジョル | スペイン | CB/右SB | 翌季から伝説の5番へ |
| 2002-03 | (空位) | — | — | 登録者なし |
| 2003-04〜2006-07 | アンドレス・イニエスタ | スペイン | MF | 2005-06のCL制覇。のち8番へ |
| 2007-08〜2009-10 | ヤヤ・トゥーレ | コートジボワール | MF/CB | 2008-09の三冠。CL決勝はCBで先発 |
| 2010-11 | (空位) | — | — | トゥーレがシティへ移籍 |
| 2011-12 | アンドリュー・フォンタス | スペイン | CB | ラ・マシア育ち |
| 2012-13 | (空位) | — | — | 登録者なし |
| 2013-14 | セルジ・ロベルト | スペイン | MF/右SB | 翌季から20番へ |
| 2014-15〜2016-17 | ジェレミ・マチュー | フランス | 左SB/CB | 2014-15の三冠。クラシコで先制弾 |
| 2017-18 | ジェリー・ミナ | コロンビア | CB | 半年で退団 |
| 2018-19 | トーマス・フェルマーレン | ベルギー | CB | 23番→25番→24番。1季でヴィッセル神戸へ |
| 2019-20〜2020-21 | ジュニオール・フィルポ | ドミニカ共和国/スペイン | 左SB | — |
| 2021-22〜2022-23 | エリック・ガルシア | スペイン | CB | シティからフリーで復帰 |
| 2023-24 | (空位) | — | — | ジローナへレンタル中 |
| 2024-25〜現在 | エリック・ガルシア | スペイン | CB/右SB/アンカー | 復帰して24番を継続 |
※記録は各シーズンの登録スカッドで確認(2026年8月時点)。
バルカ空位が7シーズンもある。しかもプジョル、イニエスタ、セルジ・ロベルトが「昇格前」に着けてた番号。24番って、バルサの若手にとっての最初の関門なんだね。
24番は「一桁番号へ上がる前」の番号だった
24番の最大の特徴は、ここから別の番号へ移っていく選手が異常に多いことだ。
| 選手 | 24番の時期 | 移った先 | その後 |
|---|---|---|---|
| フェルナンド・コウト | 1996-97 | 5番 | ポルトガル代表の主力CB |
| カルレス・プジョル | 2000-01〜2001-02 | 5番 | クラブの魂となる主将へ |
| アンドレス・イニエスタ | 2003-04〜2006-07 | 8番 | クラブ史上最高のMFの一人へ |
| セルジ・ロベルト | 2013-14 | 20番 | 10年背負い、最後は主将 |
| トーマス・フェルマーレン | 2018-19 | (23→25→24番) | 唯一、番号が増えていった選手 |
プジョルの5番、イニエスタの8番——バルサを語るうえで欠かせない2つの番号は、どちらも24番からの「昇格」だった。
とくにイニエスタは、デビュー時が34番、そして24番、最後に8番という三段階を踏んでいる。番号が小さくなっていく過程が、そのまま選手としての階段だったのだ。5番と8番の物語はこちらで。







プジョルの5番とイニエスタの8番が、どっちも24番スタートって熱いよね。いま24番を着けてる若手を見る目が変わるよ。
📊 意外な事実:24番はCL制覇3回すべてに絡んでいる
「昇格前の仮の番号」と書いたが、実はこの番号、バルサの欧州制覇と驚くほど相性がいい。
| シーズン | 達成 | そのときの24番 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 2005-06 | CL制覇 | アンドレス・イニエスタ | 中盤の一角として貢献 |
| 2008-09 | 史上初の三冠 | ヤヤ・トゥーレ | CL決勝はCBで先発 |
| 2014-15 | 2度目の三冠 | ジェレミ・マチュー | 左SB/CBの主力 |
19番が三冠2回とも空位、23番もペップ期を空席で通り過ぎたのとは対照的だ。24番は3度の欧州制覇すべてに着用者がいて、しかも全員が戦力として貢献している。
とくにヤヤ・トゥーレの話は面白い。本職は守備的ミッドフィルダーなのに、2009年のCL決勝(対マンチェスター・ユナイテッド)ではセンターバックとして先発した。プジョルとピケの負傷・出場停止が重なった非常事態で、24番の彼が最終ラインに入り、三冠を守り切ったのである。19番の物語はこちらで。


ジェレミ・マチュー(2014〜2017):守備の選手が優勝を決めた
フランス/左SB・CB
3シーズン92試合4ゴール。2014-15三冠
24番を最も体現した選手がジェレミ・マチューだ。
2014年夏、バレンシアから移籍金2,000万ユーロ(契約解除条項5,000万ユーロ)で加入。セルジ・ロベルトが着けていた24番を引き継いだ。
ルイス・エンリケ体制の左サイドバック兼センターバックとして、加入初年度にいきなりリーガ・コパ・チャンピオンズリーグの三冠を達成。この年だけで41試合に出場している。
2015年3月22日、カンプ・ノウのクラシコ
マチューのバルサでの通算得点はわずか4。だが、その中身が異常に濃い。
2015年3月22日、カンプ・ノウでのクラシコ。18分、スアレスへのペペのファウルで得たメッシの左からのフリーキックに、マチューが人の壁の中から抜け出してヘディング。カシージャスの手をすり抜けてゴールへ突き刺さった。これがバレンシアから2,000万ユーロで移籍して以来、初のリーグ戦ゴールだった。
試合は2-1でバルサの勝利。優勝争いを大きく左右する一戦だった。
※このゴールは「ベルナベウでのクラシコ」と誤解されることがありますが、カンプ・ノウでの一戦です。
その直後、セルタ戦でも
さらに驚くのは次だ。この直後の第29節、アウェイのセルタ戦(0-1)でも、マチューが唯一のゴールを決めている。
こちらはニアではなくファーサイドへ飛び込むダイビングヘッド。アシストはメッシではなくシャビのフリーキックだった(加入時の報道では両方メッシとされることがあるが、セルタ戦はシャビである)。
クラシコとセルタ戦、2試合連続でヘディングの決勝点。しかもどちらも僅差の勝利だ。守備の選手が、リーグ優勝を手繰り寄せた——24番の隠れた系譜を、これ以上ないかたちで体現した2週間だった。



得点4のうち2つが優勝を決める決勝点って、効率よすぎない?しかも両方ヘディング。マチューは本当に「ここぞ」で出てくる選手だったなぁ。
クラシコの通算成績はこちらでどうぞ。


エリック・ガルシア(2021〜):コービーの24番
スペイン代表/CB・右SB・アンカー
2025年暦年でクラブ最多の56試合出場
現在の24番がエリック・ガルシアだ。
バルセロナ県マルトレイ出身のラ・マシア育ち。2017年にマンチェスター・シティへ渡ったのち、2021年夏にフリーで復帰し、以来ずっと24番を着けている。
なぜ24番なのか——コービー・ブライアントへのオマージュ
じつは彼には、もっと小さい番号に変えるチャンスが何度もあった。空いている番号もあった。それでも24番を手放さないのには理由がある。
熱心なNBAファンである彼が、レイカーズのレジェンド、故コービー・ブライアントへのオマージュとして24番を選んでいるのだ。コービーがキャリア後半に着けた番号が24である。
23番のウンティティとクンデがマイケル・ジョーダン、24番のエリック・ガルシアがコービー・ブライアント。バルサの背番号23と24は、そろってNBAのレジェンドから意味を借りていることになる。23番の物語はこちらで。





23番がジョーダンで、24番がコービー。しかも隣同士。これ偶然なんだけど、並べて見るとちょっと出来すぎだよね。
「どこでも出られる」という価値
エリック・ガルシアは本来ビルドアップに長けたセンターバックだが、ハンジ・フリック体制になってから、右サイドバックやアンカー(守備的MF)としても起用されるようになった。
2024-25シーズンはリーガ29試合で2ゴール3アシスト。クンデが負傷したときは右サイドバックを埋め、モンジュイックでのクラシコ(4-3)とチャンピオンズリーグ準決勝でもゴールを決めている。この万能性がフリックのローテーションを支え、リーガ制覇に直結した。
さらに2025-26シーズンは驚異的だ。クラブ公式が2025年12月に『Eric Garcia, 24 out of 24』という記事を出したように、その時点で公式戦24試合すべてに出場した唯一の選手(うち20試合先発)。2025年の暦年ではクラブ最多の56試合に出場し、ペドリとラミン・ヤマル(各53試合)を上回った。
パリ五輪2024では金メダルを獲得し、スペイン代表にも復帰。クラブは彼を将来のキャプテン候補とも位置づけている。契約は2031年まで結ばれている。
24番が「昇格前の仮の番号」だった時代は終わったのかもしれない。エリック・ガルシアは番号を変えないまま、チームの中心になりつつある。
📊 分析:バルサの24番はどんな番号か
①空位が7シーズン——シリーズ最多
24番は空位の多さでシリーズ随一だ。
| 番号 | 空位だったシーズン数 | 該当年 |
|---|---|---|
| 24番 | 7シーズン | 1997-98、1999-2000、2002-03、2010-11、2012-13、2023-24ほか |
| 23番 | 4シーズン | 2002-03、2008-09〜2010-11 |
| 19番 | 3シーズン | 2003-04、2008-09、2014-15 |
| 20番 | 0シーズン | — |
理由ははっきりしている。24番はトップチームが使える番号の末席だからだ。スカッドが埋まらない年には、真っ先に空く位置にある。20番の物語はこちらで。


②ラ・マシア出身者が非常に多い
着用者のうちロジェ・ガルシア、プジョル、イニエスタ、フォンタス、セルジ・ロベルト、エリック・ガルシアの6人がラ・マシア出身。
下部組織から上がってきた選手に、まず渡される番号——これが24番の一貫した役割だった。ラ・マシアの物語はこちらで。


③ロジェ・ガルシアは24番を2度着けている
細かいが面白い事実がある。ロジェ・ガルシアは1995-96に24番を着け、翌1996-97は27番へ移り、1998-99にふたたび24番へ戻っている。
クラブ公式の年表が彼の着用期間を「1995/99」と記しているのは、この2度の着用をまとめたためと考えられる。間の1996-97はコウト、1997-98は空位だった。
通信簿:地味だが、通ってきた顔ぶれが豪華
24番に長期政権はほとんどない。空位も多く、1シーズンで去った選手も複数いる。
だが通り過ぎた選手の名前を並べると、これがなかなか壮観だ。プジョル、イニエスタ、ヤヤ・トゥーレ、セルジ・ロベルト——いずれもクラブ史に名を残す選手たちである。
24番は「主役の番号」ではない。だが主役になる選手が、必ず一度は通る場所だった。そう考えると、この番号の見え方はずいぶん変わってくる。
❓ よくある質問
Q. 現在のバルサの24番は誰?
A. エリック・ガルシア(スペイン代表/センターバック・右サイドバック・アンカー)。ラ・マシア育ちで2021年にマンチェスター・シティからフリーで復帰し、2026-27シーズンの公式スカッドでも24番。契約は2031年までだ。
Q. エリック・ガルシアはなぜ24番なの?
A. NBAのレジェンド、故コービー・ブライアントへのオマージュ。熱心なNBAファンである彼は、より小さい番号へ変える機会があっても24番を守り続けている。隣の23番がマイケル・ジョーダン由来なのと合わせて、バルサの23・24はどちらもNBA由来だ。
Q. 24番で最も印象的な選手は?
A. 24番との結びつきならジェレミ・マチュー。3シーズン背負い、加入初年度に三冠を達成し、2015年3月のクラシコとセルタ戦で2試合連続の決勝ヘディング弾を決めた。選手としての格ならアンドレス・イニエスタだが、彼を象徴するのは8番である。
Q. 24番から別の番号に移った選手は?
A. 非常に多い。プジョルは5番へ、イニエスタは8番へ、コウトも5番へ、セルジ・ロベルトは20番へ移っている。24番は「一桁番号へ上がる前の番号」として機能してきた。
Q. 24番が空位だったシーズンは?
A. 1997-98、1999-2000、2002-03、2010-11、2012-13、2023-24など計7シーズン。シリーズのなかで最も空位の多い番号だ。トップチームが使える1〜25番の末席にあたるため、スカッドが埋まらない年には真っ先に空く。
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24番から昇格した2人が着けた5番と8番はこちら。




同じくNBA由来の23番、空位が一度もない20番もどうぞ。




フェルマーレンが最後に着けた25番、そしてほかの番号の物語はこちら。




現在のチームの背番号やスタッツは、選手名鑑でチェック。


プジョルもイニエスタも、ここから始まった。24番はトップチームの末席であり、同時に「これから何者かになる選手」の出発点だった。いまその番号を着けたエリック・ガルシアが、移らずに中心へ登りつめようとしている。24番の意味が、いま書き換えられている最中なのかもしれない。
Visca el Barça!Vamos Blaugrana!!






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