バルサの背番号17は、シリーズのなかでも最も一貫性のない番号かもしれない。ウイング、センターバック、守備的MF、サイドバック——ポジションはバラバラで、長く定着した選手もほとんどいない。
だがその雑多さのなかに、2つの際立った物語がある。ひとつはペドロ・ロドリゲス。もうひとつはアントワーヌ・グリーズマンだ。どちらも17番から、あの7番へ移っていった。この番号は、静かに「7番の控え室」として機能してきたのである。
そもそもバルサにとって「17番」とは?
背番号17は、1〜11番のようにポジションを表す番号ではない。12番以降は本来「控え選手の番号」で、空き状況や加入時期で配分される。
バルサの17番も例外ではなく、着用者のポジションは驚くほどバラバラだ。ウイング、フォワード、センターバック、守備的ミッドフィルダー、サイドバック——ほぼすべてのポジションが登場する。
もうひとつの特徴が「加入直後の外国人選手に渡されやすい」こと。ボガルデ、ペティ、クリスタンバル、ファン・ボメル、ソング、グリーズマン、マルコス・アロンソ——他クラブで実績を積んだ選手が、バルサに来て最初に着ける番号という色合いが濃い。
※ラ・リーガで固定背番号制が導入されたのは1995-96シーズンから。それ以前は先発11人が1〜11番を着ける方式で、そもそも12番以降が存在しませんでした。したがって17番に「固定制以前の歴代着用者」は存在しません。
バルサ歴代17番 一覧
固定番号制以降、17番を背負ってきた主な顔ぶれがこちら。顔ぶれの雑多さが、この番号の性格をよく表している。
| 着用時期 | 選手名 | 国籍 | 主なポジション | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1996-97 | エマニュエル・アムニケ | ナイジェリア | ウイング | 19試合1ゴール |
| 1998-99〜1999-2000 | ウィンストン・ボガルデ | オランダ | センターバック | 1998-99のリーガ制覇を経験 |
| 2000-01 | エマニュエル・ペティ | フランス | 中盤 | 1998年W杯優勝メンバー |
| 2001-02 | フィリップ・クリスタンバル | フランス | センターバック | 31試合 |
| 2002-03 | ガイスカ・メンディエタ | スペイン | 中盤 | レンタル加入。 |
| 2005-06 | マルク・ファン・ボメル | オランダ | 守備的MF | 1季でリーガ+CLの二冠 |
| 2007-08 | ジオヴァニ・ドス・サントス | メキシコ | FW/MF | ラ・マシア育ちの逸材 |
| 2010-11〜2012-13 | ペドロ・ロドリゲス | スペイン | ウイング | → のち7番へ |
| 2012-13〜2013-14 | アレックス・ソング | カメルーン | 守備的MF | アーセナルから加入 |
| 2014-15〜2015-16 | ムニル・エル・ハッダディ | スペイン/モロッコ | FW | ラ・マシア育ち |
| 2016-17〜2017-18 | パコ・アルカセル | スペイン | フォワード | 50試合15ゴール |
| 2019-20 | アントワーヌ・グリーズマン | フランス | フォワード | → のち7番へ |
| 2020-21〜2021-22 | フランシスコ・トリンカン | ポルトガル | ウイング | 期待された若手 |
| 2022-23〜2023-24 | マルコス・アロンソ | スペイン | DF | チェルシーから加入 |
| 2024-25〜現在 | マルク・カサド | スペイン | 守備的MF | ラ・マシア育ちの新星 |
※記録はクラブ公式および各シーズンの登録スカッドで確認(2026年8月時点)。📊 ※要確認:メンディエタのバルサでの公式戦成績は資料により差があり、確定できませんでした。また空き番号だったシーズンも含まれます。
バルカ17番の顔ぶれ、国際色ゆたかで面白い。ナイジェリア、オランダ、フランス、メキシコ、カメルーン…。「よそで実績を作ってバルサに来た人」が着ける番号って感じがする。
ペドロ・ロドリゲス(2010〜2013):17番から7番へ
スペイン代表/ウイング
17番で黄金期を戦い、のち7番へ
17番の歴史で最初に語るべきはペドロ・ロドリゲスだ。ラ・マシア育ちのウイングで、2010-11から2012-13まで17番を背負った。
この期間はまさにバルサ黄金期の只中。2010-11のチャンピオンズリーグ制覇をはじめ、リーガのタイトルも積み重ねた。ドリブルで勝負するタイプではなく、背後への抜け出し、逆サイドからのゴール前侵入、前線からの守備——チーム戦術の遂行者としてメッシたちを支えた。
そして2013-14シーズンから7番へ変更。ビジャの退団で空いた7番を受け継ぎ、105試合31ゴールを記録して2015年の三冠も経験した。7番の系譜はこちらで詳しく。


アントワーヌ・グリーズマン(2019-20):7番を待つための1年
フランス代表/フォワード
17番は1季のみ。翌季に念願の7番へ
もうひとつの「17番→7番」がアントワーヌ・グリーズマンだ。2019年に1億2,000万ユーロでアトレティコから加入した際、彼が着けたのが17番だった。
理由は単純で、当時の7番はコウチーニョのものだったからだ。グリーズマンにとって7番は特別な番号——レアル・ソシエダ、アトレティコ、そしてフランス代表でも7番を着け、2018年ワールドカップ優勝の時も背中には7があった。
17番での初年度は公式戦41試合15ゴール。そして翌2020-21シーズン、コウチーニョの移籍で空いた7番へ変更した。17番は、彼が本来の番号を取り戻すまでの1年間だったわけである。



グリーズマンが17番だったのって、7番が埋まってたからなんだよね。1億2,000万ユーロの選手が「空いてないから17番で」っていうのが、なんだか人間くさくて好き。
ファン・ボメル、ソング、アルカセル:即戦力補強の番号
オランダ代表/守備的MF
在籍1季でリーガ+CLの二冠
17番のもうひとつの顔が、他クラブで実績を積んだ即戦力に渡されるという性格だ。
象徴的なのがマルク・ファン・ボメル(2005-06)。PSVから加入したオランダ代表の守備的MFで、在籍はわずか1シーズン。だがその1年でリーガとチャンピオンズリーグの二冠を達成している。17番で最も効率よくタイトルを掴んだ選手と言っていい。
ほかにもウィンストン・ボガルデ(オランダ)、エマニュエル・ペティ(1998年W杯優勝メンバー)、フィリップ・クリスタンバル、アレックス・ソング(アーセナルから加入)、パコ・アルカセル(50試合15ゴール)、マルコス・アロンソ(チェルシーから加入)と、「よそで名を成してからバルサへ来た選手」が並ぶ。
一方でラ・マシア育ちの若手も着けている。ジオヴァニ・ドス・サントス(2007-08)、ムニル・エル・ハッダディ(2014〜2016)、そして現在のマルク・カサドだ。
マルク・カサド(2024〜):現在の17番
スペイン/守備的MF
ラ・マシア育ち。現在の17番
そして現在の17番がマルク・カサド。ラ・マシア育ちの守備的ミッドフィルダーで、2024-25シーズンから17番を背負っている。2026-27シーズンの公式スカッドでも17番だ。
派手さより、球際の強さとポジショニングで勝負するタイプ。ブスケツが去った後の「中盤の底」という、バルサで最も難しいポジションに挑んでいる。
17番の歴史を振り返れば、ペドロもグリーズマンも、この番号から7番へ「昇格」していった。カサドがこの先どうなるか——それも見どころのひとつだ。
📊 分析:バルサの17番はどんな番号か
ポジションはシリーズ最多の多様さ
着用者のポジションを分類すると、その雑多さがはっきりする。
| タイプ | 該当選手 |
|---|---|
| ウイング/フォワード | アムニケ、ジオヴァニ、ペドロ、ムニル、アルカセル、グリーズマン、トリンカン |
| 守備的MF・中盤 | ペティ、メンディエタ、ファン・ボメル、ソング、カサド |
| センターバック・DF | ボガルデ、クリスタンバル、マルコス・アロンソ |
2番が右サイドバック、3番がセンターバック、13番がゴールキーパーで一貫していたのに対し、17番はほぼ全ポジションが登場する。これは17番が「空いているから配る」番号であることの裏返しだ。
隠れたテーマ:「7番の控え室」
だが偶然にしては見過ごせない共通点がある。ペドロもグリーズマンも、17番から7番へ移ったのだ。
| 選手 | 17番の時期 | 移った先 | きっかけ |
|---|---|---|---|
| ペドロ | 2010-11〜2012-13 | 7番 | ビジャの退団 |
| グリーズマン | 2019-20 | 7番 | コウチーニョの移籍 |
16番が6番・5番・8番への登竜門だったように、17番は7番への待合室として機能してきた。番号の下一桁が同じというのは偶然だろうが、「1つ上の番号が空くのを待つ」という構図はよく似ている。16番の物語はこちらで。


通信簿:短期の即戦力が多く、定着者は少ない
17番の弱点も正直に書いておく。長期政権がほとんどない。最長でもペドロの3シーズン程度で、1シーズンで手放した選手が非常に多い。
それでもファン・ボメルが1年で二冠、ペドロが黄金期のCL制覇、グリーズマンが41試合15ゴールと、短期間でも結果を残した選手は少なくない。17番は「腰を据える番号」ではなく「勝負を懸ける番号」——そう捉えると、この雑多な系譜にも筋が通って見えてくる。
❓ よくある質問
Q. 現在のバルサの17番は誰?
A. マルク・カサド(スペイン/守備的ミッドフィルダー)。ラ・マシア育ちで2024-25シーズンから17番を背負い、2026-27シーズンの公式スカッドでも17番だ。
Q. グリーズマンはなぜ17番だったの?
A. 加入時(2019年)、7番がコウチーニョのものだったから。グリーズマンにとって7番はレアル・ソシエダ、アトレティコ、フランス代表、そして2018年W杯優勝時にも着けた特別な番号で、コウチーニョの移籍で空いた2020-21シーズンから7番へ変更した。
Q. 17番から出世した選手は?
A. ペドロ・ロドリゲスとアントワーヌ・グリーズマンの2人が、いずれも17番から7番へ移っている。ペドロはビジャの退団を受けて2013-14から、グリーズマンはコウチーニョの移籍を受けて2020-21からだ。
Q. 17番で最も成功したのは?
A. 効率ならマルク・ファン・ボメル。在籍わずか1シーズン(2005-06)でリーガとチャンピオンズリーグの二冠を獲得した。長さと実績の総合ならペドロ・ロドリゲスで、17番時代に2010-11のCL制覇を経験している。
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現在のチームの背番号やスタッツは、選手名鑑でチェック。


国籍もポジションもバラバラ。長く定着した選手も少ない。それでもファン・ボメルの二冠、ペドロの欧州制覇、グリーズマンの15ゴール——17番を着けた選手たちは、限られた時間でしっかり爪痕を残してきた。腰を据える番号ではなく、勝負を懸ける番号。それがバルサの17番だ。
Visca el Barça!Vamos Blaugrana!!







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