2026年7月22日、FCバルセロナはドイツ代表FWカリム・アデイェミ(24)のボルシア・ドルトムントからの加入を公式発表した。契約は2031年までの5年。今夏はアンソニー・ゴードンに続く2人目の補強であり、ハンジ・フリック監督が、ドイツ代表時代の教え子を再びブラウグラナに呼び寄せた格好だ。
一言でいえば、これは「スピードの補強」だ。左右のウイングと中央をこなすポリバレントな快足アタッカーで、バルサの前線に“縦の速さ”という新しい武器を加える一手である。どんな選手で、なぜ今この補強なのか——具体的な数字とともに掘り下げていく。
カリム・アデイェミとは?──ザルツブルクが磨いた快足
アデイェミは2002年1月18日、ドイツ・ミュンヘン生まれ(24歳)。ナイジェリア人の父とルーマニア人の母を持つ。地元ウンターハヒングの育成年代で28試合20ゴールという際立った得点力を見せ、2018年にレッドブル・ザルツブルク(オーストリア)へ移ると、一気に才能を開花させた。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 生年月日 | 2002年1月18日(24歳) |
| 出身 | ドイツ・ミュンヘン |
| 身長/体重 | 180cm/75kg |
| 利き足 | 左 |
| ポジション | ウイング(左右)/センターFW |
| 代表 | ドイツ代表 通算11キャップ1ゴール |
| 所属 | 時期 | 主な成績 |
|---|---|---|
| レッドブル・ザルツブルク | 2018〜2022 | オーストリアリーグ68試合27ゴール17アシスト |
| ボルシア・ドルトムント | 2022〜2026 | 公式戦146試合36ゴール |
| ドイツ代表 | 2022〜 | 通算11キャップ1ゴール |
2022年に加入したドルトムントでは、公式戦146試合で36ゴールを記録し、加入1年目にはブンデスリーガ新人王に選ばれた。ドイツ代表ではフリック監督のもとで2021年にデビューを飾ったが(通算11キャップ1ゴール)、負傷や不調も重なり、2022年カタールW杯の最終メンバーには選ばれなかった。奇しくも、この夏スペインを世界一に導いたヤマルやフェランとは、そこが対照的な経歴だ。
プレースタイルの核は、なんといっても爆発的なスピードだ。2023年には時速36.65kmという、ブンデスリーガ歴代でも最速級のスプリントを記録。30m走のタイムは3.60秒で、なんと陸上のウサイン・ボルト(3.78秒)をも上回ったことがある。左利きのドリブルで一気に背後を取り、カットインからのフィニッシュも狙う、カウンターで違いを作るタイプだ。
では、その速さは“世界最速級”の面々と比べてどうなのか。並べてみた。
| 選手 | 最高速度(参考値) |
|---|---|
| カリム・アデイェミ | 36.65 km/h |
| キリアン・ムバッペ | 約36〜37 km/h |
| ヴィニシウス・ジュニオール | 約37 km/h |
| アーリング・ハーランド | 約36 km/h |
※計測した大会・方式が異なるため単純比較はできない参考値だが、いずれも世界トップクラス。アデイェミがその一角であることは間違いなく、本人も「自分がサッカー界で最速だと思う」と公言するほどの自負を持つ。ただし決定力にはムラを指摘する声もあり、この速さをどれだけ結果に変えられるかが本人の課題でもある。
その快足ぶりは、古巣ドルトムントの公式チャンネルが公開したゴール集で確かめてほしい。
“持っている”男──デビュー戦弾と昨季の輝き
アデイェミは、大舞台でいきなり魅せるタイプだ。2021年9月、ドイツ代表デビュー戦(W杯予選アルメニア戦・6-0)で途中出場すると、後半アディショナルタイムにいきなりデビューゴールを突き刺した。2000年代生まれのドイツ人として、代表初ゴールを決めた最初の一人である。
昨2025-26シーズンも勝負強さは健在だった。チャンピオンズリーグ開幕節、強豪ユヴェントス相手の4-4という大乱戦で、1ゴール1アシストと主役級の活躍。速さだけでなく、大舞台で結果を出す勝負師の一面も、バルサファンの期待をかき立てる。
なぜこの補強なのか──フリックの狙いを読む
フリック監督がアデイェミを求めた理由は、大きく2つに整理できる。
第一に「再会」。フリックはドイツ代表監督時代(2021〜2023年)にアデイェミを代表デビューさせた指揮官であり、その特性も人間性も知り尽くしている。師弟の再会で、フィットの不確実性が小さいのは大きな利点だ。
第二に、バルサに不足しがちな“縦の推進力”だ。現在の前線はヤマル(右)、ラフィーニャ(左)、中央にレヴァンドフスキとフェラン・トーレス。技術と創造性は世界屈指だが、相手が深く引いて守る「ローブロック」を一撃で破る純粋なスピードは限られていた。両サイドをこなせるアデイェミの背後への一発は、その明快な解になり得る。
もちろん課題もある。とりわけ、フリックのバルサは高い位置からのハイプレスが生命線だ。快足はプレスの“追い込み役”として理想の素材だが、実はドルトムント時代のアデイェミは前線の選手としては守備アクションやプレスの量が多くなく、ボールを持たない時の強度とタイミングは明確な伸びしろとされてきた。攻撃の縦の速さだけでなく、この“守備のスプリント”をどれだけこなせるか——ボール保持を基本とするバルサへの適応とあわせて、ここがフリックの下で主力に食い込む鍵になる。
バルサでの序列は?──激戦のウイング争い
では、アデイェミはバルサの前線でどこに入るのか。今夏のウイングはかなりの激戦区だ。
右ウイングはラミン・ヤマルがほぼ不動。左ウイングはラフィーニャが主軸で、今夏1人目に加入したアンソニー・ゴードンが左の定位置を激しく争う構図だ。そこへ両サイドを踏めるアデイェミが加わり、右には若手ルーニー・バルドグジも控える。一方、昨季後半に存在感を増したフェルミン・ロペスは、ウイングというより中央の攻撃的MF(インテリオール)が主戦場のため、直接の競合ではない。
つまりアデイェミは、確立されたヤマル・ラフィーニャのすぐ下、ゴードンと左サイド〜ローテーションを争う立ち位置からのスタートになりそうだ。いきなり主力を奪うのは簡単ではない。だが彼の純粋なスピードは、他のウイング陣にはない武器。引いて守る相手を終盤に一気に破りたい場面や、カウンターが刺さる展開で、フリックに“ジョーカー”という新しい選択肢を与える存在になる。
移籍金・契約の全貌
条件面はこうだ。移籍金は固定2,200万ユーロ(約41億円 ※1€≒186円)に、出来高最大700万ユーロを加えた総額最大2,900万ユーロ(約54億円)。ドルトムントには将来の売却額の20%が入るsell-on条項が付く。年俸は手取り600万ユーロ(約11億円)で、契約は2031年までだ。
24歳で代表歴もある実力者としては抑えた金額で、海外メディアは「バーゲン」と評している。今夏1人目のゴードンに続き、高額ではなく“適正価格の即戦力”を積み上げる——フリック体制の補強方針が、この2件からは見えてくる。バルサの歴代の支出のなかでどのあたりに位置するのかは、移籍金ランキングと見比べると面白い。
なお背番号について、本人が希望した27番は着けられない。ラ・リーガではトップチーム登録選手の番号が1〜25番に限られるためだ。実際の番号は本記事の執筆時点では未確定である(📊 ※要確認:確定した背番号)。


バルカ正直、ワクワクが勝つ! うちの前線に足りなかった“一気に背後を取る速さ”、しかもブンデス最速級・ボルトより速い30m走の持ち主だよ? フリックが代表で見てきた選手だから、ハマり方も計算できる。心配はひとつ、ヤマル・ラフィーニャ・ゴードンとの激しい出場時間争い。ケガなく、まずはジョーカーとして違いを見せてくれたら最高だ!
アデイェミの快足を来季どこで見る?
新加入のアデイェミが実際にどんなスピードを見せるのか、来季の開幕が待ち遠しい。バルサの全試合を追うなら、配信が大会ごとに分かれている点に注意したい——ラ・リーガとコパ・デル・レイはU-NEXT、チャンピオンズリーグはWOWOWが主な視聴手段だ。自分に合う組み合わせは、次の視聴ガイドで詳しくまとめている。


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