本ページの情報は2026年7月時点のものです。
2026年7月、国際的な信用格付け機関モーニングスターDBRSが、FCバルセロナの格付け「BBB」を確認(維持)したと発表した。クラブ公式も「将来プロジェクトは堅牢」という評価とともにこのニュースを伝えている。
……と聞いて、「格付け?BBB?なにそれ?」となったクレ(バルサファン)は多いはず。実はこのニュース、あの財政危機からのバルサの回復ぶりと、新カンプ・ノウ完成後の未来を映す、なかなか味わい深い内容なのだ。この記事では「格付けとは何か」の基本から、今回の発表が意味するところまで、サッカーファン目線で分かりやすく解説する。
📰 今回のニュースの要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表 | モーニングスターDBRS(国際信用格付け機関)・2026年7月 |
| 格付け | FCバルセロナの発行体格付け「BBB」を確認(維持) |
| 見通し(トレンド) | 「ポジティブ」から「ステーブル(安定的)」に変更 |
| 評価されたポイント | ブランド力・収益創出力・商業的ポジション・スポーツ面の競争力 |
| 今後の見立て | スポティファイ・カンプ・ノウ完全稼働後、2028年以降に財務は徐々に改善へ |
ポイントは2つ。「BBBという格付け自体は守られた」こと、そして「見通しはポジティブから安定的に一段階引き下げられた」ことだ。それぞれの意味を、基本から見ていこう。
🏦 そもそも「格付け」とは?
信用格付けとは、ひとことで言えば「お金をきちんと返せるかの通信簿」。国や企業がお金を借りる(債券を発行する)とき、貸す側は「この相手、ちゃんと返してくれるのか?」を知りたい。そこで第三者の格付け機関が財務を分析し、返済能力をアルファベットの等級で示す。S&P、ムーディーズ、フィッチ、そして今回のモーニングスターDBRSなどが代表的な機関だ。
| 等級のイメージ | 意味 |
|---|---|
| AAA〜A | 返済能力が非常に高い〜高い(超優良) |
| BBB | 返済能力は十分。「投資適格」と呼ばれる合格ラインの内側 |
| BB以下 | 「投機的」水準。貸す側はリスクを覚悟する必要がある |
※一般的な格付け記号の並びをもとにした自作の概念図(機関により細分記号は異なる)。
つまりBBBとは、「金融市場から見て、安心してお金を貸せる相手」と認められる水準。派手な最上位ではないが、巨額のスタジアム投資の真っ最中であることを考えれば、堂々たる評価と言っていい。
なぜサッカークラブに格付けが必要なのか
答えはシンプルで、クラブが巨額の資金調達をしているから。バルサはエスパイ・バルサ(カンプ・ノウ改修を中心とする大規模プロジェクト)のために、金融市場から大きな資金を借り入れている。格付けが高いほど低い金利でお金を借りられ、低いほど利息の負担が重くなる。つまり格付けは、移籍金や年俸に回せるお金の余力にも間接的に響いてくる、ファンにとっても他人事ではない数字なのだ。
⚽ 他のクラブはどうなの?
「じゃあレアルやシティは何格付けなの?」と気になるところだが、実はここに面白い事実がある。公開の信用格付けを持つサッカークラブ自体が、世界でもごくわずかなのだ。ほとんどのクラブは銀行借入などで資金を調達しており、格付け機関の評価を受けて債券を発行するクラブは限られている。
| 対象 | 格付け | 位置づけ |
|---|---|---|
| AAA企業(参考) | AAA | 世界でも数えるほど(マイクロソフトなど)。サッカークラブでは皆無 |
| FCバルセロナ | BBB(DBRS・2026年) | 投資適格。クラブとしては異例の高さ |
| ローマ(社債) | BB-→B+(S&P・2020年に引き下げ) | 「投機的」水準。BBBより4〜5段階下 |
| インテル(社債) | B+(フィッチ・2022年)/B(S&P・2023年) | 「投機的」水準。BBBより5〜6段階下 |
比較できる実例を挙げよう。インテルが発行した社債(2022年の4億1,500万ユーロ債)はフィッチでB+、S&PではB。ローマの社債(メディア・スポンサー収入を裏付けとする2億7,500万ユーロ債)は、S&PでBB-だったものがコロナ禍の2020年にB+へ引き下げられた。いずれも「投機的」と呼ばれる水準で、バルサのBBBとは4〜6段階の差がある。セリエAの名門2クラブの社債よりも数段上の評価を、巨額のスタジアム投資を抱えながら維持している——バルサのBBBがどれだけ異例か、この比較で伝わるはずだ。
レアルやシティ、バイエルンはどうなの?
「じゃあ他のビッグクラブは?」と思うだろう。調べてみると、こうなっている。
| クラブ | 公開格付け | 背景 |
|---|---|---|
| レアル・マドリード | なし | ベルナベウ改修の資金は銀行融資中心。格付けを伴う公募債は使っていない |
| マンチェスター・シティ | なし | オーナー資本が潤沢で、公開市場での大型調達をしていない |
| パリ・サンジェルマン | なし | 同上。オーナー資本中心の経営 |
| バイエルン | なし | 実質無借金経営で知られ、そもそも大きな借入をしていない |
| マンチェスター・ユナイテッド | なし(無格付け発行) | 2010年の約5億ポンドの社債も、格付けを取得せずに発行された |
つまり、世界のビッグクラブの資金調達は「銀行から借りる」「オーナーが出す」「そもそも借りない」が主流で、格付け機関の審査を受けて公募市場から調達しているクラブはほぼ皆無。バルサは14億ユーロ超という規模の調達を機関投資家向けの市場で成立させるために、あえて格付けの審査台に乗った——そして投資適格を勝ち取った、というわけだ。
ここは一般の企業の世界とは対照的で面白いところだ。トヨタもソニーも、世界の大企業の多くは債券発行のために格付けを持っているのが当たり前。一方サッカークラブの世界では格付け自体が例外的な存在だ。ただし誤解しないでほしいのは、これは「格付けがある方が偉い」という話ではないこと。バイエルンの無借金経営もレアルの銀行融資も、それぞれ合理的な資金調達スタイルであり、優劣の問題ではない。バルサの場合は「会員所有クラブ(ソシオ制)でオーナーの資本注入ができない」という事情の中で、巨大投資をやり切るために公募市場という選択肢を取った——その戦略の違いが、格付けの有無に表れているだけだ。
バルカ「昨季のCL出場クラブの格付け一覧」を作りたかったんだけど、調べてみたらそもそも格付けを公開しているクラブがほとんどない。レアルもシティもバイエルンも土俵にいない。つまり格付けの審査台に乗っていること自体がバルサの調達規模の証明なんだよね。
📜 バルサの格付けは、これまでどうだった?
「財政難のクラブ」と散々報じられてきたバルサ。では以前はどんな格付けだったのか——答えは意外で、公開の格付けを取得したのは2023年が最初。エスパイ・バルサの大型資金調達に合わせて、DBRSの評価を受けるようになった。つまり、あの財政危機の真っ只中(2021〜22年頃)には、そもそも格付けの土俵にすら立っていなかったのだ。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2021〜22年頃 | 財政危機が世界的に報道。「経済レバー」発動などで急場をしのぐ(公開格付けなし) |
| 2023年4〜5月 | エスパイ・バルサのため14億7,800万ユーロを調達(ノート+建設ローン)。DBRSの格付け取得 |
| 2023年8月 | DBRSがBBB(安定的)を確認。危機からの回復期に投資適格を確保 |
| 2025年6月 | 見通しが「安定的」→「ポジティブ」に引き上げ。直近2シーズンの業績改善・カンプ・ノウ復帰による増収期待・コスト管理を評価 |
| 2026年7月 | BBB維持・見通しは「ポジティブ」→「安定的」へ(今回の発表) |
こうして並べると、今回の「見通し一段階ダウン」よりも、財政危機からわずか数年でBBBを取得し、維持し続けているという大きな流れの方がよほど重要だと分かる。
🔍 なぜ見通しは「安定的」に変わったのか
今回、格付け本体は維持された一方で、見通しは「ポジティブ(今後の格上げ含み)」から「ステーブル(当面は現状維持)」に変わった。理由として挙げられているのは、エスパイ・バルサ最終段階の実施・資金調達のスケジュール。工事の仕上げに特別な資金調達が必要で、負債を減らすペースが当初想定より緩やかになる、という判断だ。
大事なのは、これが「格下げ」ではないこと。DBRSは負債の増加を「エスパイ・バルサ完成に直結した一時的なもの」と位置づけ、プロジェクト自体を「変革的な投資」として堅牢だと評価している。



「格付け維持・見通しだけ一段階慎重に」って、通信簿でいえば「成績はキープ。ただし来学期の成績アップ予想はいったん保留」みたいな感じ。工事が大詰めでお金がかかる時期だから、そりゃそうだよねという内容で、悲観するニュースではないと思う。
📈 エスパイ・バルサの展望:注目は2027年完成と2028年の数字
では、格付けの行方を左右するエスパイ・バルサは今後どうなっていくのか。現時点で分かっている目標と数字を整理しよう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総投資規模 | 約14億7,800万ユーロ(2023年調達分) |
| 完成目標 | 2027年末(当初計画から1年以上の遅れ) |
| 完成時の収容人数 | 105,000人(欧州最大級) |
| 現状 | 2025年11月から収容制限つきでカンプ・ノウでの試合を再開済み |
| スタジアム関連の収益目標 | 年間3億5,000万〜3億6,000万ユーロ(ラポルタ会長は「4億ユーロ超」と発言) |
※金額・時期は2026年7月時点の公表情報・報道ベース。今後変わる可能性がある。
DBRSのレポートが描く未来はこうだ。スポティファイ・カンプ・ノウが完全稼働すれば、クラブの収入創出力は大きく増加し、負債の削減が進む。財務プロフィールは2028年以降、徐々に改善していく見込み。さらに、格付けが再び「ポジティブ」へ、あるいは格上げへ向かう条件としては、スタジアム改修の完遂・収益とキャッシュフローの持続的な改善・負債をEBITDAの4.5倍未満に安定的に抑えることが挙げられている。次に見るべき指標はここだ。
ここで今回のBBB維持の意味をもう一度かみ砕くと、こうなる。「バルサは借金を抱えているが、新スタジアムという未来の稼ぐ力でそれを返していける」と金融のプロたちが判断したということだ。格付けは利益を保証するものではなく、あくまで返済能力の評価。それでも、巨額投資の真っ最中に投資適格の評価が続いているのは、「借りて、造って、稼いで、返す」というエスパイ・バルサの筋書きそのものに市場がゴーサインを出し続けている、ということに他ならない。
🚀 妄想タイム:もし「シングルA」に上がったら
ここからは少し先の、楽しい想像の話。DBRSが示す格上げの条件——スタジアム改修の完遂、収益とキャッシュフローの持続的改善、負債をEBITDAの4.5倍未満に安定して抑えること——をすべてクリアしていったら、バルサの格付けが「シングルA」の領域に到達する日が来るかもしれない。
もしそうなったら何が変わるのか。格付けが上がるほど、お金を借りるときの金利は下がる。つまり同じ借金でも利息の負担が軽くなり、浮いたお金をそのまま補強や育成、施設に回せるようになる。さらに借り換え(リファイナンス)の条件も良くなるので、財務の選択肢がどんどん広がっていく。「財政難のバルサ」が「金融市場の優等生バルサ」へ——数年前を思えば夢物語のようだが、105,000人のカンプ・ノウが満員になる姿を見れば、あながち妄想とも言い切れない。



シングルAのサッカークラブなんて、世界のどこにも存在しない。もし実現したら金融の世界でも「事件」だよ。ソシオが所有するクラブが、オイルマネーにもオーナーの財布にも頼らず、自分の稼ぐ力だけで世界最高の財務評価に到達する——これほどバルサらしい勝ち方はないと思わない?
※このセクションは公表されている格上げ条件をもとにした将来の想像です。格付けの見通しを保証するものではありません。
数年前、バルサの財政危機は世界中で報じられ、レジェンドの退団や「経済レバー」の発動など、ファンにとって胃の痛い日々が続いた。そこから立て直し、巨額のスタジアム投資を抱えながら「投資適格」の評価を守っている——今回のニュースは、あの時代を知るクレにとって、静かだが確かな朗報だ。
新生カンプ・ノウの全貌や改修の経緯は、こちらの記事で詳しくまとめている。


❓ よくある質問
Q. BBBは結局「良い」の?「悪い」の?
A. 金融の世界では「投資適格」=合格ラインの内側で、機関投資家が安心して債券を買える水準。巨大スタジアム投資の最中のスポーツクラブとしては、十分に健全な評価と言える。
Q. 移籍市場への影響はある?
A. 直接補強費が増減するわけではないが、格付けは資金調達の金利コストに影響する。高い格付けを保てば利息負担が軽くなり、長期的にはピッチに投下できるお金の余力につながる。
Q. 次に注目すべきタイミングは?
A. スポティファイ・カンプ・ノウの完全稼働と、その後の収入拡大が数字に表れる2028年以降。ここで負債削減が進めば、見通しが再び「ポジティブ」へ戻る展開も期待できる。
ピッチ上の勝敗ほど派手ではないが、クラブの土台を支えるのはこうした財務の健全性だ。新しいカンプ・ノウで、財政もチームも「完全体」になる日を楽しみに待ちたい。
Visca el Barça!Vamos Blaugrana!!
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