ラ・リーガ第8節、バルセロナはアウェイでセビージャと対戦。
開始直後から守備の不安が露呈し、中盤はマンツーマンで封じ込まれ、サイドからは立て続けに攻め込まれる苦しい展開となりました。前半のPKと追加点で早々にリードを許し、後半はPK失敗と決定機逸が響いて1−4の完敗──。
15年ぶりのセビージャ戦黒星という屈辱の夜。終盤のサンチェス・ピスフアンは真っ赤な熱狂に包まれ、バルサは完全に押し込まれてしまいました。
代表ウィーク前、改めてチームの課題が浮き彫りとなった試合です。悔しすぎる夜、もう一度しっかり向き合っていきましょう。

ボコボコにされた夜、再び
ラ・リーガ第8節
2025年10月5日(日)23:15 @ラモン・サンチェス・ピスファン
観客:41,040人
主審:アレハンドロ・ルイス
FC Barcelona | セビージャ |
1 | 4 |
⚽️得点者⚽️ | |
⚽️ラッシュフォード(45+6分) | ⚽️アレクシス・サンチェス(13分)PK |
⚽️ロメロ(37分) | |
⚽️ホセ・カルモナ | |
⚽️アコル・アダムズ(90+6分) | |
🟨警告🟥 | |
🟨ジェラール・マルティン(16分) | 🟨マルコン(20分) |
🟨フェラントーレス(20分) | 🟨アイザック・ロメロ |
🟨フレンキー・デ・ヨング(38分) | 🟨アドナン・ヤヌザイ(73分) |
🟨ラッシュフォード(83分) | 🟨ルシアン・アグメ(80分) |
🟨フェルナンデス(90+6分) | |
🟨アコル・アダムズ(90+6分) |
スターティングメンバー
FCバルセロナ | セビージャ | ||
---|---|---|---|
ポジション | 選手名 | ポジション | 選手名 |
GK | シュチェシュニー | GK | ブラホディモス |
RSB | クンデ | RWB | ホセ・カルモナ |
CB | アラウホ | CB | アスピリクリエタ |
CB | クバルシ | CB | マルコン |
LSB | ジェラール・マルティン | LSB | ガブリエル・スアソ |
MF | デ・ヨング | MF | バティスタ・メンディ |
MF | ペドリ | MF | ルシアン・アグメ |
MF | ダニ・オルモ | MF | ジブリル・ソウ |
WG | ラッシュフォード | FW | アレクシス・サンチェス |
WG | フェラントーレス | FW | ルベン・バルガス |
CF | レヴァンドフスキ | FW | アイザック・ロメロ |
交代選手 | |
アラウホ ↔︎ エリックガルシア(46分) | ジブリル・ソウ ↔︎ ネマニャ・グデリ(61分) |
ジェラール・マルティン ↔︎ バルデ(46分) | アイザック・ロメロ ↔︎ アコル・アダムズ(61分) |
フェラントーレス ↔︎ ルーニー・バルドグジ(69分) | ルベン・バルガス ↔︎ アドナン・ヤヌザイ(72分) |
デ・ヨング ↔︎ クリステンセン(87分) | バティスタ・メンディ ↔︎ フェルナンデス(72分) |
↔︎ (分) | ↔︎ (分) |


試合レビュー
前半まとめ:バルサ、守備の不安と中盤封じで苦しい展開に
第8節セビージャ戦、前半は1−2とリードを許しての折り返しとなりました。スタメンでは、右ウイングにはバルドグジではなくラッシュフォードを起用、左にはフェラントーレスが入り、少し意外な並びで試合がスタートしました。一方のセビージャはフォーメーションを5バックではなく4-2-3-1を採用。注目は、かつてバルサで3シーズンを過ごしたアレクシス・サンチェス。36歳となった今でもその存在感は健在で、顔立ちも当時のままで懐かしさを感じさせます。
試合は序盤から守備の不安が目立ちました。開始3分、左サイドをスルーパスで破られ、バルガスのクロスからアレクシスが決定機を迎える場面では、アラウホのブロックで辛うじて失点を免れましたが、その後もサイドを割られるシーンが続き、非常に嫌な立ち上がりとなりました。セビージャはミッドウィークのパリ・サンジェルマン戦で得た戦術を応用し、ペドリ、フレンキー、ダニ・オルモに対してマンマークを徹底。中盤の要を封じることでバルサのビルドアップを制限し、攻撃のリズムを完全に奪いにきました。2010年前後のチャビ時代にも見られた対策で、広いピッチで自由を奪われた中盤は苦戦。20分を過ぎてもシュート0本という厳しい展開が続きました。
12分には左サイドからのロングスローでロメロとアラウホが競り合い、VAR判定でPKに覆るシーンが発生。接触は軽微でしたが判定はPKとなり、キッカーのアレクシスが冷静に決めて0−1。やや厳しい判定ではありましたが、今季のバルサは先制されても負けなしというデータもあり、ここからの巻き返しに期待がかかりました。しかし、中盤が機能不全に陥ったまま時間が進み、25分から36分にかけてセビージャが立て続けに決定機を作る苦しい時間帯が続きます。25分にはアレクシスの仕掛けからロメロがシュートを放ち、27分には2列目からの飛び出しでロメロがGKと1対1を迎えるもシュチェシュニーがセーブ。34分にも右サイドを突破され、グラウンダーのクロスからロメロに決定機を許しましたが、これは大きく外れてバルサは命拾いしました。しかし36分、クンデのボールロストから左サイドを一気に突破され、最後はロメロが決めて0−2。高いDFラインの裏を徹底的に突かれ、狙い通りの形で追加点を奪われました。
42分にはクバルシのロングフィードからラッシュフォードが抜け出し、GKとの1対1を迎えましたがシュートは惜しくも決まらず。しかし前半アディショナルタイム、敵陣でクンデがボールを奪うと、ペドリが素早く前線へ展開し、逆サイドに走り込んだラッシュフォードが左足ダイレクトで流し込み1点を返すことに成功。セビージャファンからすれば51分を超えてからの失点に納得いかない展開でしたが、バルサにとってはこの1点が大きな意味を持ちます。中盤が使えない状況ではロングボールやサイド攻撃が有効であることが見え始め、ようやく反撃のきっかけを掴みかけた前半終盤でした。
レヴァンドフスキのキレが悪く、ボールが足につかない場面も目立ち、全体的にバルサの攻撃は停滞気味でしたが、1−2で折り返せたことは最低限の結果といえるでしょう。内容としては守備の脆さと中盤の封じられ方が目立ち、後半はシステム変更や選手交代を行わないと追加点を奪われるリスクが高い展開です。それでもラッシュフォードのゴールで反撃の希望をつなげたことはポジティブな材料となりました。
後半まとめ:PK失敗といつもの失点パターンで
後半はジェラール・マルティンとアラウホに替えてバルデとエリック・ガルシアを投入するという、まさかの最終ライン2枚替えからスタート。試合終盤ならまだしも、後半開始早々にディフェンスラインを一気に入れ替えるのは非常に珍しい采配で、明確なテコ入れの意図が感じられました。実際、後半立ち上がりからは両センターバックが積極的にドリブルで前線まで運ぶシーンが増え、前半とは明らかに異なる攻撃的な姿勢を見せています。チーム全体としても前への意識が強まり、敵陣でボールを保持する時間が増加。セビージャのファールも目立ち始め、徐々に流れがバルサに傾き始めました。
63分には右サイドでペドリがラッシュフォードからのパスを受け、左足で強烈なシュートを放ちますが、GKが見事なセーブ。その後のCKではエリック・ガルシアが頭で合わせるも、再びGKがファインセーブで阻止。お互いの守護神の好守によって、試合は大味な打ち合いではなく、引き締まった緊張感のある展開が続きました。
65分を過ぎる頃にはセビージャの選手たちに疲労の色が見え始め、足を攣る選手やピッチに座り込む選手が増加。バルサは敵陣でプレーを続け、同点ゴールの気配が漂い始めます。そして72分、左サイドでバルデがラッシュフォードとのワンツーでエリア内に侵入。交代直後のヤヌザイに倒されてPKを獲得します。キッカーはレヴァンドフスキ。しかし、いつものルーティンで放ったシュートは、まさかのゴール枠外。前半からボールタッチが少なかった影響もあり、キックの精度を欠いてしまいました。これを決めていれば試合展開は大きく変わっていたはずで、痛恨のシーンとなりました。
81分にはレヴァンドフスキのワンタッチパスに抜け出したバルドグジがゴール正面でGKと1対1を迎えるも、シュートは正面に飛び同点ならず。彼のリーガ初ゴールは今回もお預けとなりました。さらに89分、右サイドでバルドグジを起点に攻め込み、エリア内で自らシュートを放ちますが、またもGKが好セーブ。その直後、セビージャがロングパスで右サイドへ展開すると、カルモナが持ち上がってまさかのシュートを選択。これが左隅に決まり、1−3とリードを広げられてしまいました。
アディショナルタイムの90+6分には、左サイドをロングパスで突破され、中央へのグラウンダークロスをアダムズに決められ1−4。試合は終盤にかけて一気に崩れ、PK失敗と決定機逸が響いて悔しい敗戦となってしまいました。前半終盤から後半序盤にかけては反撃ムードがあっただけに、終盤の2失点はダメージが大きく、勝ち点を持ち帰るチャンスを逃した形です。
試合まとめ:失敗ばかりであれば必ず負ける
セビージャ戦は、前半から守備の不安が顕著に表れ、中盤では相手のマンツーマン戦術にはまり機能不全、サイドからも立て続けに攻め込まれる苦しい内容でした。開始直後からセビージャの勢いに押され、危険なシーンが続いたことを考えると、結果として敗戦となったのは残念ながら当然といえる展開だったと思います。前半のPKによる先制点、そして追加点を許すまでは完全に主導権を握られ、こちらの攻撃はほとんど形になりませんでした。
後半はバルデとエリック・ガルシアの投入でビルドアップに変化が見られ、敵陣でボールを持つ時間も増えて流れを引き寄せかけましたが、レヴァンドフスキのPK失敗やバルドグジの決定機逸など、ここ一番で決めきれず。その直後のセビージャのカウンターで失点を重ね、最終的には1−4というスコアで敗戦となりました。内容的にも、先日のパリ・サンジェルマン戦に続き、守備・中盤ともに脆さを突かれての完敗と言わざるを得ません。
これでバルサは実に15年ぶりとなるセビージャ戦での黒星。試合終盤、サンチェス・ピスフアンのスタジアムはまるでライブ会場のような熱狂に包まれ、バルサは完全に相手のペースに飲み込まれてしまいました。悔しさが残る敗戦ではありますが、ここからは2週間の代表ウィークに突入します。今チームにできることは、代表に招集された選手たちが怪我なく無事に戻ってくること、そして負傷者が少しでも多く復帰してくれることを祈るのみです。
守備面の立て直しと中盤の構築は急務。次節までにどれだけチームとしての再構築ができるかが、シーズンの流れを大きく左右しそうです。あぁ……悔しすぎる。
ただいまの時間は1時35分。
もう寝よ
次節:代表ウィーク明けのジローナ戦
第9節はホームのエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスで、同じカタルーニャ州のライバル・ジローナを迎え撃ちます。8節終了時点でジローナは17位と下位に沈んでいますが、最近のバルサの守備の脆さを考えると、油断はまったくできません。こうした相手に勝ち切れず、勝ち点を取りこぼすのが今のバルサの怖いところでもあります。
セビージャ戦の大敗でついに首位をマドリーに明け渡したバルサにとって、この一戦は再び上位戦線に食らいつくためにも絶対に落とせない重要な試合です。
代表ウィーク明けの試合はどのビッグクラブも苦戦しがちですが、ここでしっかりとチーム全体の底上げとローテーションを進めながら、勝利で弾みをつけたいところですね。
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