代表ウィークがようやく終わり、2週間ぶりのラ・リーガが再開。
ただしバルセロナにとっては、まさに“満身創痍”の再スタートとなった。
負傷者は依然として多く、
レヴァンドフスキ、フェラントーレス、ラフィーニャ、ダニ・オルモ、テア・シュテーゲン、ジョアン・ガルシア、ガビと、攻守の主軸が軒並み離脱中。
この状況の中で、フリック監督は前線のスタメンを大幅に入れ替えて臨むことに。
個人的にはフォーメーションを変更して対応してくると予想していたが、
実際にはシステムは変えず、選手の入れ替えのみで対応してきた。
その理由は明白、復帰したヤマルの起用だ。
右ウイングに戻ってきたヤマルには、序盤から流れを作る役割が期待される。
ただし、パリ戦のように後半に消えてしまう展開や、再び恥骨の違和感を再発させるような無理は避けてほしいところ。
左サイドバックにはバルデが復帰し、守備と推進力の両面で安定感を取り戻したい。
そして何よりも注目は、プレシーズン以来の出場となる17歳・背番号29のトニ・フェルナンデス。
今季初スタメンというチャンスをどう活かすか若きCFに注目が集まる。
中盤では、パリ戦以降に続く“マンツーマン対策”をどう克服するかもポイント。
デ・ヨングがやや高めの位置を取る4-2-3-1は維持しつつ、中央の組み立てをどこまでスムーズにできるかが鍵となる。

「劇的勝利!バルサ、アラウホ弾でジローナに競り勝つ」
ラ・リーガ第9節
2025年10月18日(土)20:00 @エスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニス
観客:43,172人
主審:ヘスス・ヒルマンサーノ
| FC Barcelona | ジローナ |
| 2 | 1 |
| ⚽️得点者⚽️ | |
| ⚽️ペドリ(13分) | ⚽️ビツェル(20分) |
| ⚽️アラウホ(90+4分) | |
| 🟨警告🟥 | |
| 🟨アラウホ(90+4分) | 🟨ストゥアーニ(75分) |
| 🟨アレックス・モレノ(84分) | |
スターティングメンバー
| FCバルセロナ | ヘタフェ | ||
|---|---|---|---|
| ポジション | 選手名 | ポジション | 選手名 |
| GK | シュチェシュニー | GK | ガッサニーガ |
| RSB | クンデ | RSB | リンコン |
| CB | クバルシ | CB | ビトール・ルイス |
| CB | エリック・ガルシア | CB | デイリー・ブリント |
| LSB | バルデ | LSB | アレックス・モレノ |
| MF | ペドリ | MF | ブライアン・ジル |
| MF | マルク・カサド | MF | アルナウ・マルティネス |
| MF | デ・ヨング | MF | アクセル・ビツェル |
| WG | ヤマル | MF | ジョエル・ロカ |
| WG | ラッシュフォード | FW | ポルトゥ |
| CF | アントニオ・フェルナンデス | FW | ブラディスラフ・バナト |
| 交代選手 | |
| トニ・フェルナンデス ↔︎ フェルミンロペス(46分) | ブライアン・ジル ↔︎ ジョンソリス(63分) |
| ペドリ ↔︎ クリステンセン(63分) | ポルトゥ ↔︎ ツィガンコフ(63分) |
| ヤマル ↔︎ バルドグジ(63分) | ジョエル・ロカ ↔︎ アプリージャ(69分) |
| バルデ ↔︎ ジェラール・マルティン(75分) | ブラディスラフ・バナト ↔︎ ストゥアーニ(69分) |
| マルク・カサド ↔︎ アラウホ(81分) | アルナウ・マルティネス ↔︎ ラス・クルマ(80分) |


試合レビュー
前半まとめ:先制するもやっぱり脆い守備
第9節ジローナ戦、バルサはいつも通りの4-2-3-1でスタート。中盤のデ・ヨングはやや高めのポジションを取り、トニ・フェルナンデスがCFに入る形となった。序盤からボールを支配するものの、慎重な立ち上がりとなった。
開始4分、右サイドのヤマルが魅せた。最終ラインからの縦パスを、まるで擦り上げるように回転をかけて浮かせ、華麗に相手DFを抜き去る。ペナルティエリア内まで切り込んだが、左足のシュートは大きく枠を外れた。それでもスタジアムのファンからは歓声が上がり、早々にヤマルの存在感を見せつける形に。
守るジローナは自陣で5-3-2のブロックを形成し、ラインをコンパクトに保つ守備を徹底。中盤でのマンツーマンはなく、バルサとしては比較的落ち着いてビルドアップを展開できた。
そして迎えた前半13分。再び右サイドのヤマルがボールを受け、エリア内へスルスルと侵入。時間が止まったかのような滑らかなドリブルから、左足でゴール左隅へ転がすようなシュートを放ち、先制。GKは一歩も動けず、まさに「ゴールにパスした」ような冷静な一撃だった。
しかし喜びも束の間、20分に左CKからのクリアボールをジローナのビツェルがオーバーヘッドで叩き込み、1-1の同点に追いつかれる。これをきっかけに試合の主導権はジローナへ。23分からのわずか3分間で2度も中央を突破され、GKシュチェシュニーのビッグセーブとエリック・ガルシアの渾身のブロックがなければ逆転されていてもおかしくない展開だった。
それ以外にも決定機を3度許しており、ジローナが今季ここまで8試合で5得点に留まるチームでなければ、前半で試合が決まっていても不思議ではないほど。バルサの守備の脆さはやはり拭い切れていない。
攻撃では26分にクバルシが持ち上がり、中央でトニ・フェルナンデスが反転して流したボールをデ・ヨングが右足で狙うも、GKの好セーブに阻まれる。さらに29分、ラッシュフォードの直接FKがゴールポストを直撃するなど惜しいシーンもあったが、得点には至らず。
結局、前半は1-1のまま折り返し。内容としてはジローナのほうが勢いがあり、どちらが上位チームかわからないような苦しい展開となった。後半に向けて、フリック監督の修正が急務となる。
後半まとめ:戦術アラウホ炸裂!土壇場で掴んだ劇的勝利
後半はトニ・フェルナンデスに代わってフェルミン・ロペスを投入。待ちに待った復帰となり、サポーターからも大きな拍手で迎えられた。
その期待に応えるかのように、後半開始わずか2分でフェルミンがミドルシュートを放ち、いきなりスタジアムを沸かせる。ポジションは中央でフレンキーと縦の関係を取りながら、時に左寄りに流れ、ラッシュフォードを中央へ押し上げる動きで攻撃のリズムを生み出した。
しかし、55分を過ぎたあたりからチーム全体の動きが重くなり始める。カウンターの場面でも前線の選手が戻り切れず、全体的に歩くシーンが目立つ。雨も本降りとなり、嫌な予感が漂う展開に。
61分、右CKのこぼれ球からクバルシが反転してネットを揺らすも、直前にエリック・ガルシアのファウルを取られノーゴール。惜しくもリードはならなかった。
63分にはヤマルとペドリを下げ、クリステンセンとバルドグジを投入。過密日程を見据えた早めの交代策に踏み切る。
そして65分、その交代策が早速結果に繋がりかける。右サイドでバルドグジが得意の左アウトサイドでクロスを送ると、中央で待っていたラッシュフォードが反応。しかし、まさかのシュートミス。決めていれば試合の流れを完全に引き寄せる場面だっただけに、痛恨の逸機となった。
75分にはバルデに代わりジェラール・マルティン、81分にはマルク・カサドに代わってアラウホを投入。なんとアラウホは最前線に配置され、まさかの“パワープレー要員”として起用されるという奇策に出る。
そして迎えた90分、信じられない出来事が起こる。フリック監督が判定に激しく抗議した結果、主審からイエローカードとレッドカードを連続で提示され、まさかの退場。混乱が走る中、試合はアディショナルタイムへ。
そのわずか数分後──ドラマが生まれた。
94分、右サイドを駆け上がったデ・ヨングがライン際ギリギリからクロスを供給。
中央ではFWとして構えていたアラウホがニアサイドに飛び込み、見事なタイミングでダイレクトシュート!
ボールはゴール左隅に突き刺さり、スタジアムは歓喜の渦に包まれた。
まさに“戦術アラウホ”が的中。ゴール後にはすぐ最終ラインへ戻り、残り時間を全力で守り切る姿も印象的だった。
試合はそのまま終了のホイッスル。1-1で終わるかと思われた苦しい展開の中で、劇的な勝ち越しゴールをもぎ取った。
内容は決して良くなかったが、チーム全員で掴んだこの勝利は大きい。スタジアムもベンチも一体となり、フリック体制の“粘り強さ”を象徴する一戦となった。
試合まとめ:苦しい中で掴んだ勝利、浮かび上がる新たな希望
故障者が多い中で迎えた一戦だったが、守備の安定感が少しずつ戻ってきており、最終的に勝利という結果を得られたことは大きな収穫だ。
とはいえ、内容面では「勝てた」と胸を張れる出来ではなかったのも事実。決定機を何度も作られ、試合を通して押し込まれる時間も長かった。
それでもこの試合において希望の光となったのが、バルドグジと“臨時CF”としてゴールを決めたアラウホの存在だ。
バルドグジはヤマルを休ませながらも、右サイドに新たな可能性を示してくれた。今のチーム状況を考えれば、彼をより積極的に起用していく選択も十分にありだろう。
そして、土壇場で試合を決定づけたのがアラウホ。ピケ以来となるセンターバックの“パワープレー要員”として前線に上がり、勝利を呼び込む姿はまさに魂のプレーだった。
ライバルチームのセルヒオ・ラモスを思わせるその存在感に、守備だけでなく攻撃でも頼れるリーダーとしての成長を感じた。
何よりも、内容はどうであれ勝ち点3を取れたことが何よりの収穫。
この勝利でチームは再び勢いを取り戻し、次節のチャンピオンズリーグ、そして最大の注目試合──クラシコに向けて確かな弾みをつけた。
あとは、離脱している主力たちが少しでも早く戻ってくることを祈るばかりだ。
Visca el Barça!Vamos Blaugrana!!
次節:CL第3節パナシナイコス戦
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