チャンピオンズリーグという舞台で数々の名勝負を繰り広げてきたバルセロナとチェルシーが、久しぶりに欧州の頂を争う舞台で再会した。勝ち点7で並び、グループ11位と12位という異例の状況で迎えた一戦は、両者にとってまさに“落とせない90分”。スタンフォードブリッジには約2,700人のクレが駆けつけたものの、スタンドの大半を埋め尽くすチェルシーブルーの中では完全にアウェーの空気が漂い、ピッチに立つ選手たちにもその重圧がのしかかる。
試合前のデータを見てもチェルシーが直近11試合連続で先制点を奪うなど攻撃は絶好調。対するバルサはリーグ戦で久々のクリーンシートを達成したとはいえ、それまで9試合連続失点という不安定さを抱えており、今日も先にスコアを動かされる可能性が高い試合だった。それでもバルサはCLで24試合連続ゴール中、そしてフリック監督のチームとしては53試合連続得点中と得点力は十分で、撃ち合いになる展開さえ期待できる。そんな背景を携えてキックオフを迎えた。

タイトル
チャンピオンズリーグ第5節
2025年11月26日(水)5:00 @スタンフォードブリッジ
観客:40,343人
主審:スラブコ・ビンチッチ
| FC Barcelona | チェルシー |
| 0 | 3 |
| ⚽️得点者⚽️ | |
| ⚽️オウンゴール(27分) | |
| ⚽️エステバン(55分) | |
| ⚽️デロップ(73分) | |
| 🟨警告者🟥 | |
| 🟨アラウホ(32分) | 🟨マロ・ギュスト(40分) |
| 🟨🟥アラウホ(44分) | |
スターティングメンバー
| FCバルセロナ | チェルシー | ||
|---|---|---|---|
| ポジション | 選手名 | ポジション | 選手名 |
| GK | ジョアン・ガルシア | GK | ロベルト・サンチェス |
| RSB | クンデ | RSB | マロ・ギュスト |
| CB | アラウホ(C) | CB | ウェスレー・フォファナ |
| CB | クバルシ | CB | トレボ・チャロバー |
| LSB | バルデ | LSB | マルク・ククレジャ |
| MF | デ・ヨング | MF | リース・ジェームズ(C) |
| MF | エリックガルシア | MF | モイエス・カイセド |
| MF | フェルミン・ロペス | MF | エンソ・フェルナンデス |
| WG | ヤマル | FW | エステバン |
| WG | フェルミン | FW | アレハンドロ・ガルナチョ |
| CF | レヴァンドフスキ | FW | ペドロ・ネト |
| 交代選手 | |
| フェラントーレス ↔︎ ラッシュフォード(46分) | マロ・ギュスト ↔︎ アンドレイ・サントス(46分) |
| レヴァンドフスキ ↔︎ ラフィーニャ(62分) | アレハンドロ・ガルナチョ ↔︎ デロップ(59分) |
| フェルミンロペス ↔︎ クリステンセン(62分) | ペドロ・ネト ↔︎ バイノーギッテンス(76分) |
| ヤマル ↔︎ ダニオルモ(80分) | リース・ジェームズ ↔︎ アチームポン(82分) |
| バルデ ↔︎ ジェラールマルティン(80分) | エステバン ↔︎ タイリクエ・ジョージ(83分) |


試合レビュー
前半まとめ:あぁー試合ぶち壊しちゃった
チェルシーは立ち上がりからほぼマンツーマン気味のディフェンスで、CLのパリ戦でも課題となった配球の部分が今日も重要なポイントとなりました。4分には右CKからショートで繋がれ、レヴィのクリアボールを奪い返されてネットを揺らされましたが、直前に左腕へボールが触れていたためノーゴール。早い時間帯に助けられる形となりました。続く5分、敵陣でフレンキーが見事にボールを奪取し、ヤマルを経由してフェラン・トーレスがエリア内でGKと1対1を迎える大きなチャンスを作りました。しかし右足のコントロールショットは惜しくも枠を捉えることができず、同点の機会を逃します。
その後はチェルシーのマンツーマン守備に苦しみながらも何とか耐えていましたが、26分に再び右CKからショートで繋がれ、ラインを上げた背後をククレジャに取られます。ライン際からの折り返しをネトが押し込む形となりましたが、フェランが必死に防いだものの、そのこぼれ球がクンデに当たってしまい痛恨のオウンゴール。ここまでオフサイドやハンドに助けられてきたバルサも、ついに失点を喫してしまいました。
さらに44分には窮地が訪れます。アラウホが裏へ抜けたククレジャを止めようとしてしまい、これが2枚目のイエローカードとなって退場。1点ビハインドで数的不利という非常に厳しい状況となり、2008-2009シーズンの準決勝を思い出させる展開に。当時も左SBアビダルが退場した苦しい試合を、最後にイニエスタの劇的弾で乗り越えましたが、今日も同じように後半での奇跡を期待したくなる状況です。
前半はそのまま0-1で終了。アラウホ退場後はエリック・ガルシアがCBに入り対応しましたが、数的不利の後半をどう戦うのか、ここからのフリックの采配と選手たちの集中力が大きく問われることになりそうです。それでもバルサは逆境の夜こそドラマを生むクラブ。後半、誰が“イニエスタ役”になるのか期待したいところです。
後半まとめ:何度も助けてはもらえず
後半はフェラン・トーレスに代えてラッシュフォードを投入し、左サイドに配置するところからスタート。数的不利の中でも一発の希望を探る采配でしたが、流れをつかむ前に危険な場面が続いてしまいます。50分、左サイドをワンツーで簡単に突破され、ライン際まで持ち込まれてクロスを入れられると、後半から入ったばかりのアンドレイ・サントスに押し込まれてしまいます。しかし直前のワンツーがわずかにオフサイドとなり、またしてもノーゴール。これでバルサはここまで4回ネットを揺らされ、そのうち3回が取り消し。どこまで耐えられるのか、そんなギリギリの状態が続きました。
ただ、その綱渡りも長くは続かず、55分には右サイドで18歳のブラジル人ウィンガー、エステバンに見事に崩されて失点。今度はどう見ても取り消しの要素はなく、0-2と厳しいスコアに。数的不利でラインを上げきれず、パスカットからのショートカウンターになる場面が増え、流れを変えることが難しい時間帯が続きました。ヤマルも今日の試合ではククレジャに完全に封じられており、突破の糸口が見えず、むしろ中央でフェルミン・ロペスとのポジションチェンジなど、攻撃の形を変えた方が良いのではと思わせるほどでした。
62分にはレヴィとフェルミンを下げ、ラフィーニャとクリステンセンを投入。ラフィーニャは左、クリステンセンはボランチへ。数的不利の中で攻撃の形はほぼ個人技かカウンター頼みとなり、2点が必要なバルサとしては、とにかく早く1点を返して望みをつなぎたい状況でしたが、流れを引き寄せるまでには至りません。すると74分、中央から左サイドへのスルーパスで完全にラインを破られ、折り返しからデラップに押し込まれて0-3。オフサイドの可能性もありましたが、判定はギリギリでオンサイド。1人少ない状況でハイラインを維持する以上、こうしたシーンは避けきれず、ただただ苦しい展開となりました。
80分にはヤマルとバルデを下げ、ダニ・オルモとジェラール・マルティンを投入。明らかに次の試合を見据えた温存の意図があり、勝負をかけるというよりはダメージコントロールに近い交代でした。残り時間はチェルシーのパス回しに対して追いかけるだけになってしまい、バルサには崩す気配が最後までほとんどないまま、試合は0-3でタイムアップ。マンツーマン気味だったチェルシーの守備は時間とともにゾーンに近い形に変化していきましたが、バルサは数的不利の影響もあり効果的な攻撃を生み出せず、完敗という結果となりました。
試合まとめ:
この試合は前半途中からの数的不利に加え、リーガから中2日で迎えたアウェーという厳しい条件が重なり、ポゼッションもシュート数も後半に入るほど大きく落ち込んでいった。疲労の影響は明らかで、全体のプレス強度や切り替えのスピードが鈍り、特に強豪相手のアウェーで脆さが出てしまうという今季の課題が、今日もそのまま表れた試合だったように思う。敗因を挙げるとすれば、まずククレジャを攻略できなかったことが非常に大きく、ヤマルは完全に封じ込められ、バルサの攻撃の軸が作れなかった。また、中2日と移動の影響もあってかハイプレスの連係が微妙にずれ、前からの守備がハマらないままショートカウンターを受ける形が増えてしまった。そして何よりアラウホの退場が痛すぎた。1点ビハインドでの数的不利はあまりにも重く、そこから試合を引き寄せるだけの力は残っていなかった。
内容としても、バルサらしいサッカーが見られたのは開始10分ほどで、それ以降はチェルシーのペースを覆せる気配がほとんどなく、勝てる展開には見えなかったというのが正直なところ。ただ、ガビとペドリが復帰すればベストメンバーが揃うという希望はあるし、戦力が揃った上で2014-2015シーズンのように年明けから一気にチーム力が爆上がりし、そこから一気にタイトルを取りにいく――そんな可能性もゼロではない。
一方で今日のチェルシーの守備の仕方、そしてククレジャがヤマルに対して見せた徹底した対応が今後他クラブに研究されてしまうことは少し怖い。ただ、現代サッカーでは「研究される・対策される」ことはトップ選手の宿命であり、それを上回れない選手は自然と消えていく世界でもある。だからこそヤマルには、メッシのように対策ごと乗り越えて進化し続ける存在になってほしいと思う。まだ18歳という年齢を考えれば伸びしろしかないし、これからどれほどのスーパープレイを見せてくれるのか期待しかない。ただし、その才能を守る意味でも私生活やSNSには本当に気をつけてほしい。
次節:第6節VSフランクフルト
フランクフルトといえばヨーロッパリーグベスト4でまさか敗退に追い込まれた相手ですね。
あの頃は日本人の鎌田選手がトップ下でいましたが、今は全く別のチーム。
バルサは残り3試合を全て勝たないとグループリーグ上位8チームに入る事はできないため絶対負けられないですね。
Visca el Barça!Vamos Blaugrana!!


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